校長室より

読み方の間違い。人としての最適解。

《昨日のこの出来事を思い出すと、やっぱり口元が緩みます😊》

ある生徒が漢字の読み方を間違えました。どうやら原稿に、間違ったルビが振られていたようです。ルビを振ったのはこの生徒ではありませんでした・・・。

いらぬおせっかい?と思いながらも、ここは学校、正しいことを教える場です。放課後私は、下校を急ぐその生徒に正しい読み方を伝えました。すると・・・その生徒は笑顔で「ありがとうございます」と返します。「だって、そうやってルビが振ってあったもん」といった釈明は一切なく、眉間のシワの1mmとて寄りません。“曇りのない表情” って、きっとこういうのを言うのでしょう。

さて、この「ありがとうございます」からどんなことが読み取れるでしょう。この生徒の人物像は? 間違いを指摘された時の気持ちは?・・・国語科の私に言わせれば、読み取りは極めてクリエイティブな作業。上の描写を根拠とし、さあ、自由に読み取ってみましょう。

ちなみに私も、私なりに読み取りました。その読み取りは私の口元を自然と緩めました。「曇りがないのは表情だけじゃないな」「爽やかな思いをありがとう」「私もこんな風に生きたいな」「心に余裕があるんだろうな」「しなやかで、あ、これもレジリエンスだな、きっと」・・・読み取りの後、思いはいろんな方向に広がりました。なんとも心地のよい感覚でした。